リスティング広告とは?仕組みや費用、運用方法まで徹底解説
リスティング広告とは、検索結果に連動して表示されるテキスト型の広告のことです。近年、Google検索広告やYahoo!検索広告などのプラットフォームが発達し、ECサイトや店舗集客、BtoBビジネスまで幅広く活用されています。
しかし、「リスティング広告とは何か、どう活用すればいいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、リスティング広告の基礎知識から仕組み、メリット・デメリット、費用相場、運用方法まで網羅的に解説します。
目次
リスティング広告とは
まずはリスティング広告の仕組みや代表的な媒体、構成の要素など、基本的な内容から解説します。
リスティング広告の仕組み

リスティング広告とは、検索結果ページにテキストで表示される広告のことです。ユーザーが検索したキーワードに合う内容のものが表示されることから、 「検索連動型広告」とも呼ばれます。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、上部または下部に「スポンサー」と明記された広告がリスティング広告です。
リスティング広告の特徴は、ユーザーの検索意図に合わせて表示される点です。例えば「渋谷 美容院」と検索したユーザーは、美容院を探している可能性が極めて高く、広告のクリックを通して予約や問い合わせをしやすい傾向があります。このように、購買や申し込みといった行動に直結する層(顕在層)に効率よくアプローチできるのが、リスティング広告の魅力です。
また、リスティング広告では広告文や表示するURLを自由に設定できるだけでなく、予算や掲載期間も柔軟に管理できます。少額から始められるため、ECサイトや実店舗、BtoB企業まで幅広い業種が導入しています。
リスティング広告の代表的な媒体
リスティング広告の代表的な媒体は「Google」と「Yahoo!」です。どちらも検索エンジンの検索結果ページに広告を表示でき、ユーザーの検索意図に合わせて効率的にアプローチできます。
なお、日本における検索エンジンのシェア(※)は、2025年7月時点でGoogleが約81%、Yahoo!が約10%と、この2つが全体の90%ほどを占めています。
※参考:Stat Counter Global Stats「検索エンジン市場シェア(日本)」
Google広告
世界的な利用者数を誇る、Googleが提供する広告配信サービスです。国内でもGoogle検索は多くのユーザーに利用されており、広範囲に広告を届けられる点が魅力です。
また、Google広告はYouTubeやGoogleディスプレイネットワーク(GDN)とも連携しており、検索広告とディスプレイ広告を組み合わせた戦略も可能です。
Yahoo!検索広告
Yahoo! JAPANが提供する検索広告サービスで、国内特有のユーザー層にリーチできます。特に中高年層やPC利用者が多く、Googleとは異なるターゲット層にアプローチできるのが特徴です。広告の管理画面や入札ルールはGoogle広告と似ていますが、配信面や利用者層の違いを活かした運用が効果的です。
リスティング広告の構成要素(広告の見え方)
リスティング広告は複数の要素で構成され、それぞれがユーザーにクリックを促す重要な役割を果たします。主な構成要素は次の6つです。
- ビジネスのロゴ
企業やサービスのブランドを視覚的に認識させるための画像です。ユーザーに信頼感を与える役割があります。 - ビジネスの名前
広告主の会社名やサービス名を表示します。ただし、Yahoo!検索広告にはこの項目はありません。 - 表示URL
実際のリンク先ページではなく、ユーザーにわかりやすい形で整えられたURLを表示します。ドメイン部分でブランドを認識してもらいやすくなります。 - 広告見出し
ユーザーの検索意図に沿った、最も目立つテキスト部分です。クリック率(CTR)に直結するため、キーワードやメリットを盛り込むことが重要です。 - 説明文
広告見出しを補足し、サービス内容や魅力を具体的に伝えるテキストです。ユーザーの行動意欲を高めるため、簡潔かつ明確な説明が求められます。 - 追加のアセット(旧広告表示オプション)
サイトリンクや電話番号、住所、口コミなどを表示できます。必ずしも常に表示されるわけではなく、広告の品質や検索状況によって表示の有無が変わります。
これらの要素は単独でも効果を発揮しますが、組み合わせによって広告全体の訴求力が大きく向上します。特に追加のアセットは、ユーザーの関心を引き、クリック後の行動を後押しする有効な手段です。
リスティング広告でできること
リスティング広告では、以下のような配信・設定が可能です。
- ユーザーが検索したキーワードに合わせて広告を表示できる。
- 購買や問い合わせの意欲が高いユーザーに的確にアプローチできる。
- 広告文や見出しを自社で自由に決定できる。
- 広告費の上限や日予算を自由に設定できる。
リスティング広告はユーザーの検索意図に合わせて配信できるため、見込み顧客を効率的に獲得できる施策と言えるでしょう。例えば、以下のような活用が可能です。
- 新規顧客の獲得:自社商品やサービスを探している人に直接リーチする。
- キャンペーンやセールの告知:期間限定の集客施策に合わせた広告を展開する。
- 地域や時間帯のターゲティング:特定のエリアや時間帯に広告を配信する。
- 既存顧客へのリマインド:リマーケティング広告で購入や申し込みを後押しする。
このように、目的やターゲットに応じて柔軟に設定できるのがリスティング広告の強みです。特に即効性が高く、短期間での成果を求める場合に有効なマーケティング手法と言えます。
リスティング広告の仕組み

リスティング広告は、単に出稿すれば表示されるわけではなく、広告費の計算や掲載順位の決定には明確な仕組みがあります。費用はクリックごとに発生し、さらに広告の表示位置は入札額や広告の品質など複数の要因で決まります。効率的な広告運用や予算配分のために、リスティング広告の仕組みを理解しておきましょう。
リスティング広告の費用の決定方法
リスティング広告では、広告がクリックされた回数に応じて費用が発生します。支払う金額は、クリック課金制とオークション形式(入札制)の組み合わせによって決定されます。
クリック課金制
リスティング広告に採用されているクリック課金制は、ユーザーが実際に広告をクリックしたときにのみ課金される仕組みです。クリックごとの支払いを意味する「Pay Per Click」の頭文字を取り、「PPC広告」とも呼ばれます。
クリック課金制では、広告が表示されるだけでは費用は発生しません。そのため予算が無駄にならず、関心を持ったユーザーへの効果的なアプローチが可能になります。
オークション形式(入札制)
リスティング広告ではオークション形式で掲載枠を競います。広告主は「このキーワードで広告を表示するなら、1クリックあたり〇円くらいまで支払ってもよい」という入札額を設定します。
1クリックあたりの単価は「クリック単価」と呼ばれ、費用はキーワードによって変動します。クリック単価が高くなりやすいのは、検索ボリュームが大きい人気ワードです。多くのユーザーの目に留まりやすく、コンバージョンが期待できるため、競合しやすい傾向にあります。
同じキーワードに複数の広告主が入札すると、広告の表示順は入札額だけでなく、広告の品質や関連性を加味した「広告ランク」によって決まります。そのため、必ずしも高額入札が上位表示を保証するわけではありません。
掲載位置の決まり方
掲載位置は広告ランクによって決定されます。広告ランクのスコアは、おおまかに次の6つの要素によって決まります。
- 入札単価
入札単価とは、広告のクリック1回あたりに支払っても良い上限額を指します。実際に支払う金額は、通常この上限よりも低くなります。入札単価はいつでも調整可能です。 - 広告とランディングページの品質
Google 広告では、広告とランディングページの有用性や関連性、広告から遷移した際のユーザーの期待値、ページの操作性、検索品質に関する各種シグナルなどを総合的に評価します。これにより、ユーザーに質の高い検索結果を提供します。品質評価の結果は「品質スコア」として広告アカウントから確認できます。 - 広告ランクの下限値
常に一定以上の品質を維持するため、広告が表示されるためには満たすべき最低基準が設けられています。 - オークションでの競争状況
同順位で競い合う広告の広告ランクが同じ場合、表示順位を獲得できる確率はほぼ同等です。ただし、広告ランクに差がある場合は、ランクの高い広告が有利になります。高順位を維持するために、より高いクリック単価を支払うケースもあります。 - ユーザーの検索コンテキスト
広告ランクの算出では、検索キーワード、ユーザーの所在地、使用デバイス(例:スマートフォン、PC)、検索時間、検索語句の特徴、同じページ内に表示される他の広告や検索結果など、さまざまな要素が考慮されます。 - 広告アセットや広告フォーマットの効果
広告には、特定のページへのリンクや電話番号など追加情報を付けられます。これを「広告アセット」と呼びます。Google 広告では、追加されたアセットや使用した広告フォーマットがどの程度効果を見込めるかも評価対象となります。
この広告ランクが高いほど、検索結果ページの上位に表示されやすくなります。逆に、入札額が高くても品質スコアが低いと、表示順位が下がる場合があります。したがって、掲載位置を改善するには、入札戦略だけでなく広告文の改善やターゲティングの見直しも重要です。
リスティング広告のメリット

リスティング広告の魅力は、効率性と即効性です。低コストで始められ、即時に購買意欲の高いユーザーに届き、効果を数値で確認しながら改善できるため、短期の集客・獲得施策として非常に有効です。ここではリスティング広告のメリットを7つ紹介します。
低予算で広告出稿できる
リスティング広告は、広告主が予算に応じて入札単価や日予算を自由に設定でき、少額から気軽に始められるのが大きな魅力です。Google広告や Yahoo!検索広告では、1日あたり数千円程度からでも出稿可能で、理論上は1クリックあたり1円から運用を始めることもできます。
先述の通り料金はクリック課金制のため、広告が表示されただけでは費用は発生せず、実際にクリックされた分だけ支払います。このため「思った以上にクリックされて予算を大幅に超える」というリスクも抑えられます。
また、広告の配信はいつでも停止・再開でき、繁忙期やキャンペーン期間に合わせて予算を増減させることも可能です。ニッチなキーワードや競合の少ない分野であれば、比較的低い単価でも効果を見込める場合がありますが、競合が激しいキーワードではクリック単価が高騰することもあるため、出稿前に媒体のシミュレーションツールなどで費用感を把握しておくと安心です。
まずは少額でテスト運用を行い、効果が確認できたら予算を拡大するなど、段階的な戦略が取れる点もリスティング広告の大きな強みです。
<実務ポイント:低予算運用のコツ>
- キーワードや広告文を少数に絞ってテスト配信し、効果が出たら範囲を拡大する。
- 除外キーワードや地域ターゲティングを活用して無駄クリックを削減する。
- CV(コンバージョン)が取れるキーワードに予算を集中させる。
検索結果の上位に表示できる
リスティング広告はSEOと違い、設定が整えば即時に検索結果上部に露出できるため、短期的な集客やキャンペーン告知に強みがあります。SEO施策は時間がかかるのに対し、リスティングは入札と広告作成が完了すれば、数時間〜数日で広告枠での上位掲載を狙えます。
<実務ポイント:上位表示で注意する点>
- 上位表示は入札額だけでなく、広告の品質(関連性やランディングページの品質)によっても左右される。
- 広告文・LPの整合性も意識する。
購買意欲の高いユーザーにアプローチできる
リスティング広告は、検索キーワードに「ユーザーが抱えるリアルタイムなニーズ」が表れているため、購買意欲の高いユーザーに直接届きやすい点も強みです。例えば「地域名+サービス名」や「商品名+購入」など具体的なクエリを狙うことで、問い合わせや購入につながる可能性が高まります。BtoBの商談獲得や来店予約、ECの即時購入促進に有効です。
<実務ポイント:コンバージョン率を上げる工夫>
- 購買意図が強い検索語には、割引や無料体験など明確な誘導を盛り込む。
- リマーケティング広告を併用して離脱ユーザーを再アプローチする。
広告掲載までの期間が短い
リスティング広告は必要な設定と審査を通過すれば、すぐに配信を開始できるスピード感が魅力です。広告文やキーワード、支払い方法などの基本情報を設定し、審査に合格すれば、早ければ数分~数時間、一般的には1〜3営業日以内に掲載がスタートします。
専用の管理画面から24時間365日いつでも設定・出稿でき、テレビや雑誌のように担当者とのやり取りや条件交渉を待つ必要はありません。条件が整えば、「広告を出したい」と思ったその日のうちに掲載をスタートできるケースもあります。
<実務ポイント:運用の注意>
- 審査落ちを防ぐために、媒体ポリシー(表現規制や禁止事項)は事前に確認しておく。特に金融・医療・健康関連は慎重に行うことが大切。
リアルタイムでメンテナンスできる
リスティング広告は、管理画面からの設定変更がほぼリアルタイムで反映されます。広告文やキーワード、入札単価、ターゲット設定の変更はもちろん、配信の開始や停止もワンクリックで可能です。
例えば、商品情報やサービス内容が急に変更になった場合でも、リスティング広告ならすぐに対応できます。想定より成果が出ないときは、広告を一時停止して改善した上で再開することも可能です。新聞や雑誌などの期間掲載型広告のように、掲載期間中は変更できないといった制約がないため、無駄なコストを抑えながら柔軟に運用できます。
さらに、管理画面では広告の表示回数やクリック数などの成果をリアルタイムで確認でき、そのデータをもとにキーワードや入札戦略を即座に調整できます。リスティング広告はスピーディーなメンテナンスができるからこそ、費用対効果を最大限に高められるのです。
<実務ポイント:運用のやり方>
- デイリーでクリック単価やCTRを確認し、必要に応じて入札を調整する。
費用対効果を計測しやすい
リスティング広告では、広告の管理画面上で「クリック数・表示回数・コンバージョン(CV)・費用(広告費)」が数値として見える化されるため、ROAS(ロアス※1)やCPA(※2)などのKPI算出が容易です。データに基づいた予算配分や入札戦略の策定ができ、投資判断がしやすくなります。
※1. 広告の費用対効果
※2. 顧客獲得単価
<実務ポイント:指標の使い方>
- KPIを「CV数」「CPA」「ROAS」などに落とし込み、週次・月次でレビューする。
- ランディングページ側の計測(タグ・コンバージョントラッキング)を必ず整備し、広告側の数値と突合する。
広告出稿後すぐに効果が出やすい
リスティング広告は、出稿後すぐに検索結果の上部に表示されるため、短期間での集客効果を見込めます。審査期間はありますが、設定が完了すれば即座にユーザーへのアプローチを開始でき、効果が出るまでの期間も短い傾向にあります。
SEOのように上位表示されるまで数ヶ月を要したり、順位が保証されなかったりする施策とは異なり、リスティング広告は配信開始と同時に検索結果の目立つ位置に表示可能です。新商品発売や期間限定キャンペーンなど、タイミングが重要な施策においても、即効性を発揮します。
<運用のコツ:即効性を活かす>
- 出稿初期は獲得単価をやや高めに設定してデータを早く集め、その後単価最適化を図る。
- セールやキャンペーン時は、広告文に「期間」「割引率」を明記してクリック〜CVの導線を短くする。
このように、リスティング広告は「テスト→数値で評価→最適化→拡大」というPDCAを短いサイクルで回せる点が強みです。低予算から始められる上に即時性があり、効果測定がしやすいため、短期で成果を出したい企業や、広告効果を定量的に見て投資判断をしたい方に特に向いています。運用精度を高めることで、費用対効果のさらなる改善も見込めるでしょう。
リスティング広告のデメリット

リスティング広告は即効性や費用対効果の高さが魅力ですが、万能な集客手段ではありません。継続的な成果を出すためには一定のコストや運用の手間がかかり、ビジネスの特性や目的によってはデメリットが目立つ場合もあります。
また、広告市場の競争環境やユーザー心理の影響もあり、計画的な運用を行わなければ思うような成果につながらないこともあります。ここでは、リスティング広告を検討・運用する際に注意すべき主なデメリットを具体的に解説します。
継続的な運用にはコスト・手間がかかる
リスティング広告は「出稿して終わり」ではなく、常に改善を繰り返す必要があります。広告文やキーワード、入札単価の調整、ターゲティングの見直しなどを継続的に行わなければ、クリック単価が高騰したり、無駄なクリックが増えたりして、成果が低下する可能性があります。
また、広告運用は一度設定すれば自動で最適化されるわけではなく、市場の変化や競合他社の動向に応じて適切な調整が必要です。特に業界の繁忙期や新商品の投入時などは、入札競争が激化しやすく、その都度細かい設定変更が求められます。
そのため、広告運用に慣れていない企業や少人数のチームでは、社内リソースの確保が課題になることも少なくありません。
潜在層へのアプローチは苦手
リスティング広告は、ユーザーが特定のキーワードで検索した際に表示されるため、基本的には顕在層(既にニーズが明確な層)向けのアプローチです。 一方で、まだ課題やニーズを明確に認識していない「潜在層」に対してはアプローチしにくいという弱点があります。
例えば、新しいサービスやまだ認知度の低い商品を広めたい場合、潜在層はそもそも関連キーワードを検索しないため、リスティング広告だけでは十分な集客が見込めません。そうした場合は、ディスプレイ広告やSNS広告、コンテンツマーケティングなど、認知拡大を目的とした施策との併用が必要です。
ビジュアル訴求が難しい
リスティング広告はテキスト形式で構成されるため、画像や動画を使った視覚的な訴求ができません。商品の魅力を写真や動画でアピールしたい場合や、ブランドの世界観をビジュアルで伝えたい場合には制約が大きくなります。
もちろん、広告文の工夫や拡張機能(広告表示オプション)を活用すればクリック率を高められる可能性はありますが、ビジュアル要素によるインパクトには限界があります。
そのため、特にファッション、インテリア、飲食など、見た目の魅力が購買動機に直結する業種では、ディスプレイ広告やInstagram広告などと組み合わせることが効果的です。
広告を嫌うユーザーからはクリックされにくい
「スポンサー」表記に抵抗を感じ、自然検索のみをクリックする層も一定数存在します。こうしたユーザー層は広告を避けるため、いくら魅力的な広告文を作ってもクリック率の向上にはつながりにくい場合があります。
さらに、広告を嫌う層は情報収集のために比較サイトや口コミを優先する傾向もあり、クリックが得られたとしてもコンバージョンに結びつかないケースも。これを補うためには、広告だけに依存せず、SEOやSNSなど他チャネルでの接触機会を増やすことが重要です。
競合他社との競争が激しい
リスティング広告は、誰でも入札に参加できるオープンな仕組みです。そのため、同じキーワードを狙って多くの競合が広告を出稿し、掲載順位やクリック単価で激しい競争が発生します。
特に、競合他社は簡単に自社の広告を確認できるため、広告文や訴求ポイントが模倣される可能性があります。場合によっては、競合がさらに魅力的なコピーや特典を打ち出し、クリックを奪われることもあります。結果として、広告の成果を維持するためには常に差別化や改善を続ける必要があり、運用の負担が増します。
費用対効果が合わないケースもある
リスティング広告は入札形式のため、人気の高いキーワードはクリック単価が高騰しやすく、限られた予算では十分な成果を出せないこともあります。特に、競争の激しい業界やエリアでは、1クリック数百円から数千円になることも珍しくありません。その場合、コンバージョン単価が高くなり、利益を圧迫するリスクがあります。
また、適切なターゲティングや広告文の改善を行わなければ、無駄なクリックが増えて費用対効果が悪化します。費用対効果を維持するには、継続的な分析と改善、そして場合によっては広告予算の増額やキーワード戦略の見直しが必要です。
リスティング広告と他の集客方法との違い

リスティング広告は、検索キーワードに基づき広告を表示する集客方法ですが、他にもディスプレイ広告、SEO、SNS広告などさまざまな手法があります。それぞれの特徴を理解することで、目的や予算に応じた最適なマーケティング戦略を立てられます。ここでは、リスティング広告と他の代表的な集客方法との違いを解説します。
リスティング広告とディスプレイ広告の違い
リスティング広告は、検索エンジンで特定のキーワードを入力したユーザーに対して広告を表示します。検索意図が明確なため、購入や問い合わせなどのコンバージョンにつながりやすいのが特徴です。
一方、ディスプレイ広告はウェブサイトやアプリの広告枠に画像や動画を表示する手法で、ユーザーの興味・関心や行動履歴に基づいて配信されます。潜在層への認知拡大には効果的ですが、必ずしも購買意欲が高いとは限らず、直接的な成約率はリスティング広告より低くなる傾向があります。
リスティング広告とSEOの違い
SEO(検索エンジン最適化)は、検索結果で自社サイトを自然検索の上位に表示させる取り組みです。クリック課金は不要で、中長期的な集客効果が期待できますが、成果が出るまでに時間と継続的な施策が必要です。
リスティング広告は、入札や広告設定次第で短期間で上位表示が可能であり、即効性が強みです。その反面、クリックのたびに費用が発生し、予算がなくなれば表示も止まります。短期的な成果を求める場合はリスティング広告、中長期的な集客基盤作りにはSEOが向いています。
リスティング広告とSNS広告の違い
SNS広告は、InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなどのソーシャルメディア上に配信される広告で、ユーザー属性や興味・関心に基づいて表示されます。画像や動画を活用できるため、ブランド認知や商品の魅力を感覚的に訴求するのに適しています。
一方、リスティング広告は検索キーワードベースで配信されるため、明確なニーズや購買意欲を持つユーザーにピンポイントでアプローチできます。SNS広告は感情や興味を刺激して購買を促すのに強く、リスティング広告は「今すぐ買いたい」ユーザーの獲得に強いという違いがあります。
リスティング広告の費用相場
リスティング広告の費用は、事業規模や業種、競合状況、マーケティングの目的によって大きく変動します。一般的には月20〜50万円程度から始める企業が多いですが、実際には最低金額の制限はなく、月数千円〜数万円で運用するケースもあれば、大企業では月数百万円〜数千万円を投じることもあります。
予算の決め方は、自社の売上目標や粗利率をもとに逆算するのが効果的です。例えば、1個1万円の商品を広告経由で月100個販売したい場合、1個あたり2,000円まで広告費をかけられるとすると、必要な月予算は20万円になります。
費用を検討する際は、Google広告やYahoo!検索広告が提供するシミュレーションツールを活用し、出稿予定のキーワードや過去データから予想クリック単価や必要予算を試算しておくことが重要です。
まずは無理のない範囲で少額から始め、効果を検証しながら徐々に予算を拡大していくのが、リスティング広告運用の基本戦略です。
リスティング広告と相性の良いビジネス
リスティング広告が特に成果を出しやすいのは、検索キーワードとの親和性が高く、利益率や緊急性、リピート性などの要素が強く反映されたビジネスです。ここでは具体的な業種を取り上げながら、その理由と成功のポイントを解説します。
緊急性の高いサービス
「鍵をなくした」「水道が故障した」など、緊急を要するサービスはユーザーが即座に検索する傾向があります。こうしたケースでは検索時点でニーズが明確なので、検索結果に連動するリスティング広告の特性を最大限に活かせます。
特に、ニッチで検索エンジン経由の需要が明確な業種は、競合が少ない場合も多く、結果としてクリック単価も抑えつつ高い効果が得られやすいでしょう。
地域密着型のサービス
病院、美容室、水道修理、法律事務所など、地域に根ざした店舗やサービスは、特定エリアの顕在ニーズに即応できるため、リスティング広告との相性が良好です。例えば「駅名+歯科医院」などのニーズは極めて高く、即時の行動につながる傾向があります。
その他、水道のトラブルや鍵の紛失など、急を要するときに「水道 修理 東京」「鍵 交換 〇〇市」などと検索しているユーザーにも直接アプローチできます。これらは、緊急性・地域性・サービス単価のバランスで成約につながりやすい典型例です。リスティング広告では地域ターゲティングが可能なため、特定地域に絞った効率的な広告投資が実現します。
高単価のサービス
不動産やコンサルティング、高級腕時計などの高単価商材は、1件あたりの利益が大きいため多少の広告費をかけても回収可能です。
100万円の商談が成約した場合、CPAが20万円でも十分に利益が出せるため、クリック単価が高くても費用対効果が見込めるという利点があります。こうした商材は顧客が慎重に選ぶ傾向があり、『個別商談』『無料見積り』など具体的な検索キーワードで訴求可能です。
リピート率が高い商品
定期通販やサブスクリプションモデルなど、継続購入されやすい商品・サービスも、リスティング広告との相性が良好です。健康食品やサプリメント、化粧品、日用品、動画配信サービス、ITツールなどがその代表例です。
こうした商材は、商品単価が比較的低くても顧客が長期的に継続利用することで、LTV(顧客生涯価値)が高まり、初期の広告費用を上回る利益を得やすくなります。例えば、5,000円のサプリメントで粗利率が40%の場合、初回のCPAが1万円かかっても、毎月の定期購入が1年間続けば売上は6万円、粗利は2万4,000円となり十分な利益を確保できます。
さらに、既存顧客へのリマーケティング広告を活用すれば、既に商品を体験し満足しているユーザーに再購入を促すことができ、高い確率でリピートを獲得できます。
このように、継続購入が見込める商品は広告投資の回収が早く、長期的な収益化が可能なため、リスティング広告の効果を最大限に活かせる分野と言えます。
リスティング広告の始め方・やり方
ここではGoogle広告を例に、リスティング広告の始め方を解説します。なお、Google広告の利用には、Googleアカウントの準備が必要です。
※本記事で紹介する手順は2025年8月時点のものです。また、設定すべき内容は企業やビジネスによって異なります。
Google広告にアクセスし、「今すぐ開始」をクリックする
出典:Google 広告
Google広告の公式サイトにアクセスし、トップページに表示される「今すぐ開始」ボタンをクリックします。Googleアカウントがない場合はアカウント作成ページへ移動し、既にGoogleアカウントでログインしている場合は、そのまま広告作成画面に進みます。
ビジネス情報を追加する
まずはビジネスの基本情報を入力します。入力項目の例は以下の通りです。
- ビジネスの名前(広告に表示する名称)
- クリックした後に遷移するWebサイトのURL
- ビジネスの独自性に関する説明
- 宣伝する商品またはサービス
キャンペーンを作成する
次に広告のキャンペーンを作成します。キャンペーンとは広告を管理する単位で、主に以下のような内容を設定します。
- 広告を掲載する目標(例:販売促進、見込み顧客の獲得、アプリのプロモーションなど)
- キーワード(ユーザーが検索する単語やフレーズ)
- 広告文(タイトル・説明文)
- 入札単価(クリック1回あたりに支払う金額の上限) など
この段階で、広告がどのように表示されるのかプレビューで確認できます。
作成完了後に審査が行われ、広告が配信される
広告の作成が完了したら、Google広告による審査が行われます。特に問題がなければ遅くても1〜3営業日以内には審査が完了し、広告の配信が始まります。
リスティング広告を運用する3つの方法
リスティング広告の主な運用方法は、「自社での運用」「広告運用自動化ツールの利用」「専門業者への依頼」の3つです。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社のリソースや予算に合わせて選びましょう。
自社で運用する
運用コストを抑え、ナレッジを社内に蓄積したい場合は自社運用が最適です。ただし、効果を出すには専門知識と継続的な工数が必要です。
<メリット>
- コスト管理がしやすい(代理店手数料が不要)。
- 施策の意図や商品知識がダイレクトに広告に反映できる。
- 成功・失敗のノウハウが社内資産になる。
<デメリット>
- キーワード選定、入札戦略、ランディングページ改善、計測設定など、学ぶべき領域が多い。
初期は試行錯誤が必要で、短期的に効果を出すには人的リソースが必要。
広告運用自動化ツールを利用する
作業負荷や専門知識を減らしつつ、AIや自動入札で効率化したいなら自動化ツールが有効です。近年はプラットフォーム側の自動入札(スマートビッディング)や、サードパーティの運用ツールが普及しています。
<自動化ツールでできる代表例>
- 自動入札(CPA/ROAS目標に合わせた入札調整)
- キーワードのパフォーマンス予測・推奨入札の提示
- レポート自動作成とアラート(KPI逸脱時)
- 広告文・ランディングページのA/Bテスト支援(ツール連携の場合)
<メリット>
- 日々の単純作業を削減でき、担当者は戦略立案に集中できる。
- 自動入札により効率的な入札が見込め、短期での最適化が進みやすい。
<注意点・デメリット>
- ツールごとに得意領域や課金形態が異なるため、導入前の検討が重要。
- ツール任せにしすぎると、配信の微細な調整やビジネス判断が抜け落ちる可能性がある。ツールは“補助”と考えて、必ず人の監督を入れること。
専門業者に依頼する
即効性・専門性・スケールを優先するなら、広告代理店などの専門業者への外注が効果的です。特に、大規模キャンペーンや複数チャネルの連携、詳細なレポーティングが必要な場合に適しています。
<メリット>
- 初動が速い(戦略策定・キャンペーン設計・実行まで短期で対応可能)。
- 専門知識・ノウハウ・実績データを利用できる。
- レポートや改善施策の提案が受けられ、社内工数を大幅に削減できる。
<注意点・デメリット>
- コスト構造:月額固定の運用費、あるいは運用費+成果報酬など、料金体系は業者により異なるため事前確認が必要。
- 依存リスク:社内にノウハウが残らない場合、契約終了後の運用が難しくなる恐れがある。
リスティング広告の効果を高めるポイント

リスティング広告は配信を開始するだけでは十分な成果を得られません。ターゲット設定やキーワード選定、ランディングページの改善など、複数の要素を最適化する必要があります。ここでは、特に重要な4つのポイントを解説します。
ターゲットを設定する
ターゲット設定は広告の成果を大きく左右します。年齢、性別、地域、デバイス、時間帯などを絞ることで、無駄なクリックを減らし、費用対効果を向上できます。
例えば、平日の昼間に企業の担当者向け広告を出す場合は、勤務時間帯の配信を優先し、地域をオフィス街に限定するのが効果的です。ターゲットの絞り込みは、配信後のデータ分析と合わせて継続的に見直しましょう。
運用の目的とKPIを明確に設定する
リスティング広告を配信する前に、「何を達成したいのか」を明確にすることが重要です。目的が「資料請求の獲得」なのか「ECサイトでの購入促進」なのかによって、キーワードや広告文、ランディングページの作り方が変わります。
また、目的を数値化したKPI(例:1ヶ月で30件の資料請求、CPA1万円以内)を設定し、進捗を定期的に確認することで改善の方向性が明確になります。
キーワード選定に注力する
キーワードはリスティング広告の成否を決める最重要要素です。購買意欲の高いユーザーを狙うには、一般的な単語ではなく「東京 税理士 顧問契約」のように、より具体的でニーズが明確なキーワードを設定することが効果的です。
また、無駄なクリックを防ぐために「除外キーワード」も活用します。有料サービスを宣伝する場合、「無料」「格安」など価格重視の検索を除外することで、成約率を高められます。
なお、キーワード選定は一度決めて終わりではなく、配信データを基に継続的に見直すことが必要です。検索ボリュームや競合状況を分析しながら、費用対効果の高いキーワード群を育てていきましょう。
LP(ランディングページ)を作成する
広告をクリックしたユーザーが最初に訪れるLP(ランディングページ)の質も、リスティング広告の成果に直結します。ページの読み込み速度、スマホ対応、わかりやすい構成、魅力的なコピーなど、ユーザーが行動しやすい環境を整えましょう。
また、広告文とLPの内容が一致していることも重要です。広告で「無料相談」と訴求した場合、LPにも同じ情報を明確に記載することで離脱率を減らせます。
リスティング広告を運用する際の注意点

効果的な運用には、戦略だけでなくルールの理解と予算管理も欠かせません。規定違反や過剰な出費を避けるため、以下のポイントを押さえておきましょう。
広告の審査に落ちないよう規定を確認する
Google広告やYahoo!検索広告では、広告掲載前に必ず審査があります。 医療・金融・健康食品などの分野は特に規制が厳しく、表現方法にも制限があるため、事前に公式ガイドラインを確認しましょう。審査に落ちると掲載が遅れ、機会損失につながります。
商標登録されているキーワードに注意する
他社が商標登録している商品名やサービス名を、無断で広告キーワードや広告文に使用すると、法的トラブルや広告停止のリスクがあります。商標データベースで事前に確認し、安全なキーワードのみを使用することが重要です。
広告予算は適切に設定する
初月から大きな予算を投じると、想定外の消化スピードや費用対効果の低下を招くことがあります。リスティング広告はデータ分析と改善を繰り返すことで効果が高まるため、数ヶ月〜数年のスパンを見据えて、無理のない月額予算を設定しましょう。初期は小規模でテスト配信し、成果が出たら徐々に拡大していくのが安全です。
よくある失敗と対策
リスティング広告は、正しく運用すれば高い費用対効果を発揮できる一方、設定や運用方針を誤ると予算が無駄に消費され、成果が出にくくなります。特に初心者や運用経験が浅い担当者は、キーワード選定や入札戦略、広告文の作成などでつまずきやすい傾向があります。
ここでは、リスティング広告運用においてよくある失敗パターンと、その具体的な回避策・改善方法を解説します。これらを理解しておくことで、無駄な出費を抑えながら効率的に成果を伸ばせるようになります。
キーワードの広すぎ設定
キーワードを広く設定しすぎると、意図しない検索クエリにも広告が表示され、無駄なクリックが発生します。これを防ぐには「除外キーワード」を適切に設定し、関係のない検索語での表示を抑えることが重要です。定期的に検索語句レポートを確認し、無駄クリックの元を排除しましょう。
広告文とLPの不一致
広告文で訴求している内容と、実際のLPの情報が一致していないと、ユーザーの期待を裏切ることになり、CVRの低下を招きます。広告とLPは一貫したメッセージ設計を行い、ユーザーが求めている情報や行動導線を確実に用意することが大切です。
計測設定のミス
コンバージョンタグや計測ツールの設定が誤っていると、成果データが取得できず、改善施策が打てなくなります。初期設定時には必ずテストを行い、正しく計測できる状態で運用を開始することが不可欠です。タグマネージャーや広告プラットフォームのプレビュー機能を活用しましょう。
よくある質問(FAQ)

リスティング広告に初めて取り組む企業や担当者からは、「何から始めれば良いのか」「費用はどれくらい必要なのか」「効果が出るまでの期間は?」など、共通する疑問が多く寄せられます。特に、広告運用の経験がない場合は、専門用語や設定項目の多さに戸惑うことも少なくありません。
ここでは、リスティング広告に関するよくある質問をピックアップし、初心者でも理解しやすい形で回答します。
リスティング広告の最低予算は?
日額1,000円程度から始めることも可能ですが、十分なデータを得て成果を出すためには、月額数万円以上の予算を確保するのが望ましいでしょう。業種や競合状況により適正予算は変わります。
SEOとどちらを先にやるべき?
短期的な集客効果を狙うならリスティング広告、長期的な流入基盤を作るならSEOがおすすめです。多くのケースでは、リスティングで即効性を得つつ、SEOで中長期の流入を育てる並行運用が効果的です。
クリックされても成果が出ない場合は?
LPの改善、キーワード選定の見直し、ターゲティング条件の調整が必要です。特にLPの読みやすさや訴求内容は成果に直結するため、定期的な改善が不可欠です。
リスティング広告について理解を深め、運用を成功させよう

リスティング広告は即効性と柔軟性が高い一方で、戦略や運用体制によって成果が大きく変わります。目的を明確にし、データをもとに継続的に改善を行うことが成功の鍵です。自社運用・自動化ツール・専門業者など、自社に合った方法を選び、効果的な広告運用を目指しましょう。
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